カンボジア概略

 カンボジアは東南アジアに位置する国で、タイ、ラオス、ベトナムと国境を接し、南はタイ湾に面しています。カンボジアの首都はプノンペンで、人口は約1,600万人です。歴史、文化、自然の豊かさが特徴で、多くの観光名所があります。
 ■カンボジアの特徴
1. アンコール遺跡群
 特にアンコール・ワットはカンボジアを代表する寺院で、12世紀にクメール王朝によって建立されました。ヒンドゥー教、美しい彫刻や建築で知られています。アンコール遺跡はユネスコ世界遺産にも登録されています。
 2. 歴史とポル・ポト政権
 1975年から1979年の4年間、ポル・ポト率いるクメール・ルージュ政権が政権を掌握し、激しい弾圧や強制労働、虐殺が行われ、多くの市民が犠牲となりました。この時代はカンボジアにとって大きな苦難であり、その傷跡は今も残っています。
3. カンボジア料理
 米や魚を中心とした食文化で、特に魚の発酵ペースト「プラホック」や「アモック」といった料理が有名です。タイやベトナムと似た要素がありつつも、独自の風味が特徴です。
 4. 人々と生活
 カンボジアの人々は温厚で親切な性格で知られ、仏教を信仰する人が多いです。農業が主要産業で、特に米の生産が盛んですが、近年は観光業の成長も見られます。
5. 経済と成長
 近年、カンボジアは経済成長を遂げており、特に縫製産業や観光業が主要な収入源です。しかし、経済の発展に伴って都市と農村の格差や貧困、教育へのアクセスの問題も指摘されています。
 

  カンボジアは歴史的な魅力と現代の成長を併せ持つ国であり、観光客にとっても魅力的な旅行先です。

■カンボジア通貨

 カンボジアの通貨はリエル (KHR) です。ただし、カンボジアでは米ドル (USD) が広く流通しており、特に観光エリアや都市部では、ほとんどの取引に米ドルが使われています。

 1.通貨の特徴

  リエル (KHR):1ドル未満の少額取引やお釣りの支払いにはリエルが使われることが多いです。紙幣のみで、硬貨は流通していません。

 米ドル (USD):主に1ドル以上の取引や観光地、ホテル、レストランなどで米ドルが使われます。1ドル=約4,000リエル前後で換算されるのが一般的です。

2. 両替と取扱い

  両替所:空港、ホテル、銀行などで米ドルとリエルの両替が可能です。

 支払い方法:現金取引が主流で、クレジットカードは大きなホテルや高級レストランでのみ使用できることが多いです。

3. 注意点

  米ドル紙幣は破れていたり汚れていると受け取ってもらえない場合があるため、なるべくきれいな紙幣を用意するのが良いでしょう。

 お釣りでリエルを受け取る場合もあるため、ある程度のリエルを持っていると便利です。

■治安情報

 ODA(政府開発援助)の関係で橋や道路などを日本の協力の元に造っていますので基本的には親日家が多く比較的治安は良い国です。基本的にはカンボジアは優しい人が多いのであまり神経質になることはありませんが、最低限の海外渡航の常識は守る必要があります。海外旅行ではどの国でも気をつけるべき点を守って頂ければ安全で快適に過ごして頂けます。

なお、スリ、置引き、ひったくりに気を付けてください。夜一人で出歩かない、金を見せない、金目の物は身につけない、移動の時は極力現金を分散して持ち歩く、ウエストポーチのようなものを使用する時は収納部を腰の後ろではなく前に持ってくる、などの注意を払えば、市場や人ごみでのスリの被害も避けられるでしょう。治安情報は随時変更されますので、外務省のホームページにて渡航前にご確認ください。

言語

 カンボジアの公用語はクメール語(Khmer)です。カンボジア全土で広く使われており、日常会話からビジネス、行政、教育の場まで幅広く使用されています。

1.クメール語の特徴

 クメール語は、独自の文字(クメール文字)を使います。タイ語やラオス語と異なり、声調はありません。

語順は主語-動詞-目的語の順が基本です。

インド系の言語に由来する言葉が多く、特に宗教や学問、行政に関連した語彙がインドから取り入れられています

2.その他の言語

 英語:観光地や若年層の間では英語がある程度通じます。観光業界では英語が広く使われているため、観光客向けの案内や標識なども英語が多く見られます。

3.フランス語:

 カンボジアはかつてフランスの植民地だったため、高齢層や教育機関で一部使用されることがありますが、使用者は少なくなっています。

観光地では英語が通じやすいですが、ローカルなエリアや地方ではクメール語が中心です。

気象条件

 カンボジアは熱帯モンスーン気候に属し、大きく乾季と雨季のふたつの季節に分けられます。同じ時期であればシェムリアップやプノンペンなどの地域による大きな違いはありません。旅行のベストシーズンは乾季の11~5月で、なかでも11~1月は雨も少なく比較的過ごしやすくなっています。シェムリアップやプノンペンを訪れるのなら、1年を通じて日本の夏の服装と同じでいいでしょう。冷房の効き過ぎや日焼け対策に、長袖のシャツが1枚あると便利です。

■カンボジアの水について

 カンボジアの水事情については、観光や滞在の際にいくつか注意が必要です。主に飲料水と衛生状況が懸念されるポイントとなります。

1. 水道水

 カンボジアの水道水は、都市部でもそのまま飲むことが推奨されていません。特に地方では、浄水施設や水質の管理が不十分なこともあるため、細菌や有害物質が含まれている可能性があります。

2. 飲料水

 旅行者や在住者には、ミネラルウォーターやボトルウォーターの購入をおすすめします。大半のスーパーやコンビニで購入できるほか、レストランやカフェでも一般的にボトルウォーターが提供されています。ボトルが未開封であることを確認するのが大切です。

3. 氷の使用

 氷は飲み物に使われることが多いですが、製氷の際に水道水が使用されている可能性があります。レストランや観光施設など、信頼できる場所では精製水が使われていることが多いですが、路上や安価な飲食店では注意が必要です。

4. 生活用水

生活用水としての使用(シャワーや手洗いなど)であれば、大きな問題は少ないですが、直接口に入れることや歯磨きなどの際には、なるべく飲料水を使うよう心がけると安心です。

 

全体的に、観光や滞在中には安全のためボトルウォーターを利用するのが基本とされており、事前に浄水タブレットやフィルターを持参する人も多いです。

■カンボジアの教育について

  カンボジアの教育制度や現状について以下のポイントがあります。

 1. 教育制度の概要

   カンボジアの教育制度は、基本的に6-3-3の体系で構成されています。

 初等教育:6年間(小学校)で、基本的な読み書きや算数、自然科学などの基礎を学びます。

 中等教育:前期(3年)と後期(3年)に分かれ、前期は一般的な中学校教育、後期は高校に相当します。

 高等教育:高校を卒業後、大学や専門学校で学びます。

 義務教育は9年間で、小学校から前期中等教育までとなりますが、貧困などの理由から途中で学校を辞める子供も多く、就学率や修了率に課題があります。

 2. 公立と私立学校

  カンボジアには公立と私立の学校が存在し、都市部の一部には国際的なカリキュラムを提供するインターナショナルスクールもあります。公立学校は授業料が低いものの、施設の不足や教員の人数不足が問題となることが多いです。一方、私立学校やインターナショナルスクールでは、授業の質が高く、英語での指導も行われますが、学費は高額です。

 3. 教育の質と課題

  教育の質には地域や学校ごとに大きな格差があります。特に地方では、教育環境が整備されていないことが多く、教科書や教材の不足、教員の不足などが顕著です。また、教員の給与が低いため、他の職業に転職する人も少なくありません。このような理由から、教育の継続性や質が低下しやすい状況です。

 4. 高等教育と職業教育

  カンボジアの大学や職業学校では、経済や観光、農業、工業など多様な分野の学位プログラムが提供されています。しかし、卒業後の就職にはスキルのマッチングが課題であり、特にITや外国語など、国際的なビジネススキルを持つ人材が不足しています。政府は職業訓練や外国語教育の拡充を推進していますが、まだ発展途上にあります。

 5. NGOや国際支援

  多くの国際NGOや外国の支援機関がカンボジアの教育を支援しており、特に地方の学校建設、教材の提供、奨学金制度の設立などが行われています。UNICEFやJICA(日本国際協力機構)も教育支援を行っており、学用品の配布や教育プログラムの改善に取り組んでいます。

 6. デジタル教育の普及

  都市部では徐々にデジタル教育が普及しつつあり、オンライン学習やコンピューター教育の取り組みが行われています。新型コロナウイルスの影響でオンライン学習への関心が高まりましたが、インフラや技術面でのサポートがまだ発展途上であるため、普及には時間がかかると見られています。

 教育における今後の課題

  カンボジアでは、教育の公平性向上や質の向上、特に地方における教育機会の充実が今後の課題です。また、若年層の職業教育の改善や、外国語教育、ITスキルの習得支援も重視されています。

旅行時の服装について

  カンボジア旅行時の服装については、気候や文化に合わせて準備すると快適に過ごせます。

1. 気候に合った服装

  カンボジアは熱帯モンスーン気候で、基本的に一年を通して暖かく、乾季(11月~4月)と雨季(5月~10月)があります。暑さと湿度が高いため、次のような服装が最適です。

 乾季:通気性の良い薄手の衣類(コットンやリネン)がおすすめです。昼間は30度以上になることが多いので、涼しい服を選びましょう。

 雨季:雨に備えて速乾性のある服や軽いレインジャケットがあると便利です。雨は短時間で強く降ることが多いため、折りたたみ傘も持参すると安心です。

2. 寺院や宗教施設での服装

  カンボジアでは、アンコール・ワットなどの寺院や宗教施設に訪れる際、肌の露出を控えることが求められます。特に注意するポイントは以下の通りです。

  肩を隠す服(半袖のTシャツやブラウスなど)

  膝丈まで隠れるスカートやズボン

  ショートパンツやタンクトップは避けるのが望ましい

  観光地や一般的なエリアではカジュアルな服装でも問題ありませんが、宗教施設では現地の文化に敬意を示すことが大切です。

 3. 日差し対策

  カンボジアの日差しは強いので、次のような日差し対策も重要です。

  帽子やサングラス:特に日中は必須アイテムです。

  日焼け止め:屋外に長時間出る際には、日焼け止めをこまめに塗りましょう。

 4. 靴

  観光時には歩くことが多いため、履きやすい靴を選ぶことが大切です。

  スニーカーやサンダル:履きやすく、長時間歩いても疲れにくいものがおすすめです。特にアンコール遺跡などでは、階段の昇り降りが多いため、滑りにくい靴が安全です。

  ビーチサンダル:ホテルやリゾート地では、気軽に履けるサンダルも役立ちます。

 5. 防虫対策

 蚊が多いため、特に夕方以降は肌の露出を控える長袖・長ズボンの着用が効果的です。虫よけスプレーも持参すると良いでしょう。

 まとめ

  カンボジア旅行では、気候や訪れる場所に応じた服装が重要です。特に寺院観光時のマナーを守りながら、暑さと日差しに対応できる服装で準備をすると快適に観光を楽しめます。

移動手段や乗り物について

カンボジアの市内での観光客の足となる乗り物はトゥクトゥクかタクシーが主流となっています。特にシェムリアップ市内では観光客が多いので多言語を話せるドライバーが沢山居ます。空港から市内へのアクセスはタクシーが安心です。乗り馴れていないトゥクトゥクなどの乗り物は「法外な値段を言われるのではないか」と不安に思う方もいるかもしれませんがが、数百円高く請求されることはあっても法外な金額を要求してくる悪質なドライバーは近年は少なくなってきました。ですが、安全になったとはいえトゥクトゥクから身を乗り出したり、写真を撮る為にカメラを車外に出したりするとカメラを盗まれたりする危険性もありますのでご注意ください。風を切って乗れるカンボジアならではの移動手段をお楽しみ下さい。